司法試験の難易度は相当なもの。
一発合格は珍しく、多浪は当たり前の世界。
しかし、中には多浪した結果、人生そのものが滅茶苦茶になったケースも存在します。
そしてあるブログに、司法試験に20浪した顛末が綴られており、衝撃を受けました。
そのブログタイトルは
という、個人ブログです。
もうタイトルだけで悲惨な空気が漂っています。
しかし、この人の文章力は凄まじく、記事のひとつひとつに引き込まれてしまいます。
こういうふうにはなりたくはありませんが…。
どんな内容?
2011年から始まった、タイトルどおり昭和42年生まれの元司法浪人が自分の生きざまを綴っているブログ。
内容的には、非常に陰鬱。
・根暗な陰キャが、人生逆転を目指し、東大医学部を目指すも挫折。
・更に人生逆転を目指して司法試験に挑むも、20浪で挫折
・歪んだ性癖ゆえ、友達もおらず、孤独な毎日
・塾講師のアルバイトも首になり、現在(2014)に至る
西村賢太の小説以上に壮絶です。
記事数は57記事ですが、内容は非常に濃い。
文章力は非常に高く、引き込まれます。
元司法浪人氏の経歴
1967年3月 東京都某区で出生
父は会社員、母は公務員の家庭。
いきなり飛びますが。
1982年 東京都内の某公立中学校を卒業
中学校時代は男女の仲が悪く、女友達なぞ一切いませんでした。
個人的には女友達がほしかった。
1982年 東京の某私立高校に入学
これが人生の最初の失敗。男子校で女性に縁の無く、毎日悶々とした生活を送る。
一発逆転的な発想が生まれたのもちょうどこの時。
1985年 東京の某私立高校を卒業
1985年 マーチ法学部に合格するも蹴って東大理?Vを目指す。
浪人を継続したがその後文転。
1989年 結局現役の時に合格したマーチ法学部に入学
4浪したせいか、周りになじめず、サークルにも入らず、バイトもせず、ひたすら再受験を検討し、仮面浪人するが諦める。
1990年 人生一発逆転をかけて司法試験に挑戦
1996年 大学卒業し、司法浪人へ。
学校の授業を馬鹿にしすぎて2年も留年してしまう。
1999年 択一合格するも、論文で敗北
その後択一すら受からない連敗モードへ。
2005年 択一合格。論文Gで敗北。
2010年 司法試験から撤退。
元司法浪人無職童◯職歴無しのブログが凄まじい - ゴールデンタイムズ
人生を逆転しようとして失敗するとこうなるということです。
30歳までなら取り返しも効くと思いますが、40歳を過ぎると危険どころかアウト。
いち早く自分の実力を認識し、身の丈に合った方向に進むことは大事だということでしょう。
印象的だった記事
転落する人生4
昔、野村克也が「生涯一捕手」と言っていたが、自分は差し詰め「生涯一受験生」だろう。
26年という記録的な現役期間を過ごしたその野村でさえ、45歳で引退しているのに、自分は26年間好きでもない受験勉強に費やした結果、いまだ就職活動中である。
そして野村は26年間の実績を買われ、監督を歴任するが、自分は何一つ今に生きていない。
就職するのすらままならないのである。
野村と比較するのはおこがましいが、人生とは何と皮肉なのだろうと思ってしまう。
転落する人生・・・4 | 昭和42年生まれ元司法浪人無職童◯職歴無しの赤裸々ブログ
26年受験生として勉強してきた彼は、彼女もできず就職もできず、その勉強に費やしていた時間を常に後悔している。
一生懸命時間を費やしても、それが後に役に立つわけではないということを、野村克也を例に挙げていたのが印象的
大学生を見て鬱になる2
致命的なミスを犯してしまったのだ。
彼の底にくすぶっていた怒りの炉心を露呈させてしまうようなミス犯しててしまったのである。
原因は、突き詰めて言えば、人生経験不足だ。
自分は車の降り方を知らなかった。
通常車を降りるときは歩道側のドアを開けるのに、自分はそれすら知らなかった。もちろんまったく何も知らなかったわけではない。
狭い歩道側から降りたら車のドアがガードレールに当たって傷つけてしまうかもしれないという、さしてどうでもいいことは気づいたのだが、肝心なことはわかっていなかったのだ。
(省略)
20年間、司法試験の勉強を続けたのは、皆を見返してやりたくて、女にもてたくて始めた。
しかし、20年頑張っても結果をだせなかったら、このざまである。
女にもてないどころか、関心すら寄せられない。
クールに気取っても、何の関心も抱かれなかったのだ。
そう思い、いつものように塞ぎ込んだ。
大学生を見て鬱になる。 ・・・2 | 昭和42年生まれ元司法浪人無職童◯職歴無しの赤裸々ブログ
20年間働かずに勉強ばかりしていた結果、車の降り方すらわからず、同じ塾講師バイトの大学生に怒られたことをふさぎ込む話。
これは本当に衝撃的な話だった。
”自尊心の保持”や”承認欲求”で、辞め時を誤り、結果が出ないのは明白なのに続けること 。
これがどんなに危険なことだかを良く知らしめてくれる。
変化の年1
ただ、原付は1回の試験で簡単に取得できることを思い出し、安易に取れるものと思い、挑戦した。
原付の免許程度であれば一発で取れるとタカをくくっていたが、実際はそんなことはなかった。
4回も落ちてしまった。原付の免許ごときに4浪したのである。
10代の若者が大勢1回で合格しているなかで46歳の自分が4回も落ちたことは屈辱に他ならなかった。
変化の年・・・1 | 昭和42年生まれ元司法浪人無職童◯職歴無しの赤裸々ブログ
この話も衝撃的。
20年司法試験を目指していた人が、原付試験に4回落ちるという衝撃。
もう、読む人まで絶望的な気持ちにさせてくれる記事。
そのへんの鬱映画よりよっぽどすごい。
元司法浪人氏の現在は?
不明。
2014年以降記事の更新はなし。
もう5年になります。
ここまで読ませる文章が書けるのだから、いっそ小説の賞かなんかに応募してほしい。
それなら私は買いたいです。
西村賢太を超える逸材ではないでしょうか。
まとめ
この元司法浪人氏のブログ、ぜひ読んでいただきたいです。
・自尊心や承認欲求だけで突き進むことがどれだけ危険か。
・自分の能力を過信することがどれだけ危険か。
・社会に取り残されることの悲惨さ。
まさに、生きる”反面教師”です。
ここまで心を打つ文章が書ける彼を、私は尊敬します。
まあ、こうはなりたくないと言うのが本音ですが…。
元司法浪人さん、どこかで生きてらっしゃいますか?
書籍化するべき価値のあるブログだと思いますよ?